あいいろ探鳥記

ぼそぼそとしゃべる日記

父と進路の話

 

私の父は昔、グラフィックデザインを仕事にしていた

そこで母と出会い、私がいる

 

 

父は幼い頃から絵を描くことや文章を考えることが好きだったという

たしかに、父は今も時々絵を描くし、読書が好きだ

 

父は昔アーティストを目指し、美術の専門学校に通った

祖母いわく、当時の父は「描く力さえあれば大学に行かなくてもいい」と言っていたという

「でも今はあんな感じでしょ」と祖母は言い、その後に本人には言わないでちょうだいねと少しきまりが悪そうに言った

 

父が私と同じぐらいの年のとき、今の私と全く同じようなことを思い、考えていたのだという

 

アーティストになりたい、と

 

 

 

今、父は食品工場につとめており、夜に出勤し、朝頃に帰ってくる

朝から少し寝て、起きると本を読んだり、映画を観たり、ゲームをしたりしている

 

私は今高校3年生になる

3年生になろうとしている今でさえなお、私は進路について考えあぐねている

 

 

「現実と理想との差があるけれど」と父は進路のことを話しているときに言っていた

 

父が掲げた夢という理想と叶えられなかった今の現実は、父の目にはどう映っているのだろう

 

 

後悔??逃げ道??なるようになった結果??運命??これがほんとうのおとなの現実???????

 

若くて何も知らない夢見がちな私の妄想...???

 

 

進路の話をした後、私は2階の自分の部屋に逃げた

下から聞こえる父と母の話している声に耳を澄ます

「私、とにかく楽しんでほしいのよね、あんまりそういう風には見えなくて。」

「とにかく色々めんどくさいんだろう。同じ年の子でももう少ししっかりしてる子はしっかりしてるよな」

 

はははは...と笑う声が聞こえる

私、楽しんでるように見えないんだって。

あのね、私はあなたが高校生だった時のように街に出掛けることが楽しいことではないんだよ

部活の人と他愛のない話をして家で絵を描いてね

次の日にわいわい話したり描いたりすることが楽しいんだ

 

楽しんでないってなに???

それは「わたしは」という話じゃないの???????

 

どうしてそんなことを言うの...?????

今どきのキラキラしている女の子たちみたいにならなかった娘は楽しそうじゃありませんか...?????

 

 

 

 

「夢はまだない。なりたい職業もない。大学に行ってから決めるつもりだ。」

 

 

と私は言った

 

 

なりたい職業はない

会社勤めもする気は今はない

 

 

でもね、何についても無関心で出来損ないになった娘にはね、本当は、本当は夢があるよ

 

 

自分の世界のキャラクター達をたくさんの人に見てもらえるようになることが私の夢なんだ

 

誰かの忘れられない物語になってね、映画になってね、誰かのキーホルダーになってね、誰かが毎日使うお気に入りのマグカップになるんだ

 

 

勇気がなくて言えなかった

一言も言い返せなかったんです

喉の奥でつっかえたままの本音を

今こうやって書いています

 

 

悔しいなあ

 

漫画もやっと描き始められたんだ

やっぱり臆病だからね、失敗するのが怖くてずーーーーーーーっと描けなかった

 

これで駄目だったら何もなくなっちゃうと思ったから本当にずっと逃げてきた

 

やっと踏み出した一歩を、どうか私に、私自身に信じてほしい

 

あなたはちゃんと自分の思い描いていたものを発信出来たよ

 

誰かに届いたよ

「素敵ですね」って言ってくれた人がいたよ

 

あなたを信じた私はちゃんと描けたよ

 

 

 

信じてみたいなあ

そのままぶち上がって、

「楽しい!!!」って笑ってみたい

 

 

 

 

大学...どうしようかなあ...