あいいろ探鳥記

ぼそぼそとしゃべる日記

2019.3.17

聞こえていますか

いつか未来で出会う人

わたしはここです

ここで今日も私は生きました

 

きっとどこかで会えると信じているけれど

やはりときどき不安になります

 

あなたの今日はどうでしたか

おいしいものは食べましたか

天気はよかったですか

 

いつか未来で出会ったら

夜が明けるまでたくさん話をしましょう

それまでお互いいろんなものを

見て聞いて感じて

素晴らしくありましょう

 

いつか未来で出会う人

さびしいけれど

わたしは確かにここにいます

 

 

2019.3.14

 

 

どうかあなたに

やさしい朝が来ますように

 

悲しさも嬉しさも分け合える

何かがいつも傍にありますように

 

どんなに涙を流しても

やわらかい布団に包まれて

静かに眠りに落ちる夜が来ますように

 

 

どうか 今日を生きたあなたの明日が

鮮やかであたたかなものでありますように

 

 

 

 

 

 

2019.3.12

 

君は何も出来ないね

歌は歌えないし踊りは踊れないし料理はできないし話すのもへたくそだし強い信念もないし運動はできないし楽器もできないし誰かを褒めるほど心は広くないし自分から動かないしすぐに逃げるね

何よりも出来るようになるために努力をしないね

 

ただ無駄なプライドの残滓と中途半端な自尊心を持て余して

唯一「できること」だった絵を描くことでさえ実は私だけのものでは無いことに気づいて呆然としている

 

私の絵の価値が数字になってから

誇れるはずのものであった絵も

「あなたの価値はこれ以上でもこれ以下でもなく、多くに求められる希少さもなく、あなたより出来る人は世の中にごまんといます    ちいさなコミュニティの中で楽しかったですか、よかったですね、これが現実です」

という言葉を突きつけられている気がする

 

何より変わろうと動かない私の足踏みの言い訳ほど見苦しいものは無いのだなと改めて痛感する

 

みんないろいろできるのはね、努力してきたからだよ

君が何も出来ないのはね、逃げてやってこなかったからだよ

 

 

 

それでも私は何もしない

その絵はどこに繋がるのか、「ムダ」になることを恐れて、その「ムダ」さえもつくろうとしない

 

どうして描かないんだろう

描けばいいじゃん

というか私にはそれしかないじゃん

それすら頑張らなかったらあなたの存在する価値って他にあるのかな

みんないろいろできるよね、すごいよね

君は何も出来ないね

君には絵しかないんだよ

絵でさえも怪しいけど

絵も出来なくなったら君はただの無色の人になるよ

まわりのひとがどんどん飛んでいく下で「私も才能があればなあ」とか言うのかい

醜いね

何を出し渋っているんだろう

この全力を出したものが誰にも見られずに埋もれていくのに疲れたのかな

誰も見てないもんね、描いてないからね

描いてないくせに評価してほしいとか何を言ってるのかな

あなたは他より逸脱した力も心もないんだからどうにかしないと

 

私はあなたが扱いにくくて嫌いです

もっとかわいらしい人になってほしかった

描くことが義務に、やらなきゃ自分を保てないものになっちゃって逃げ道を探してるんでしょ、無理だと思うよ

 

なんで描いてるんだろうね

なんで描いてたんだっけね

 

 

 

自分さえも味方じゃない私はどうすればいいんだろうね

 

 

「ハンキーパンキー」

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最近ハナレグミのCDを借りた

どっかで聞いたことがあったのか、なんなのかはよく分からないけれど「ハンキーパンキー」という曲が目について聞いてみたらめちゃくちゃ良かった...という話をします(この時点で八割は終わっている)

 

 

 

曲調は静かで、夜に聞くととてもいい気持ちだろうなあと思う

 

真夜中にひとりで、何がなんだかよく分からなくなってグズグズになりそうな時のひとりごとみたいな歌だなあと床に大の字になってぼんやり聞いている

 

 

変わることをこばむのではなく

変われたことをほめたいんだ

傷を嘆くよりも

出逢えたことを歌いたいんだ

君のための

日々のあわ

 

 

 

ひ、日々のあわ...と歌詞が良すぎてしばらく呆然とする感じである...

今自分自身、進路やら人間関係やらなんやらでよく分からなくなってるけれど、たぶん似たようなちょっと困ってるおとなが作ったんじゃないかなーとか考える

 

もう少し聞いてから寝ようかな

 

 

 

 

 

 

 

2019.3.8

突然なんの前触れも理由もなく

目の前に見えていたはずの何かが

見えなくなる時がある

さっきまで隣にいた人々さえも

もはや暗闇の中で

私はひとりなのだと

改めて失望する時がある

 


少しすれば闇は晴れ

さっきまでが嘘のように

元どおりになる

明日は向こうだと指をさして進み出す

 


そうしてきっと日々は進んでいく

 

 

2019.2.28

 

 

虚無に向かって歩いている

進んでいるのか

どこに行くのか

分からないまま歩いている

 


世界は絶望だという

ほんとうは光などなく

進み続けるのは

希望を信じる阿呆のすることだと

 


酷く痛む瞼を上げて

歩を進める

お気楽で結構だと

嘲笑が聞こえる

 


じわりと視界が滲む

 


うるせえ

うるせえ 黙ってろ

知ったこっちゃない

私は這ってでも

どんなに笑われても

私が信じたいと思う限りは、

その限りは、

希望を歌い続けるぞ

絶望しかないと嘆かれる世界の

光を私は敬い続けるんだ

 

 

 

明日も今日も全て私のものなのだ...

 


きっとそうなはずなんだ

 

 

 

 

 

 

ひとり

虚無に向かって歩いている

信じたいいつかの景色は

光にやられてちらつくだけの

ただの空想であるという

 

 

 

私はその空想を

滲んだ世界のまま目を離さない

これは美しい真実だと

素晴らしい世界だと

信じてただ

今日も歩いている

 

 

わたしが最近よく写真を撮るわけ

 

私は美術部に在部している

 

 

校舎の三階の端の方、

「文化棟」と呼ばれたりしていて、用のない人たちはほとんど出入りしない美術室の、そのまた奥に私たち二年生13人はいる

 

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朝、登校すると私は部室に向かう

 

一人がけのソファがふたつと、三人ほど座れる長いソファが背中合わせに置かれていて、春先の大掃除で広くなった部屋の中央に向けてイーゼルが13個並んでいる

 

それぞれの作業スペースには、多肉植物や香水のビン、ヘッドホンやギター、のこぎりや図書室から借りてきた本やお菓子のゴミなどが、整頓されたり床まで散乱したりしてそれぞれの場所に置かれている

 

カーテンは大体閉まっている

油絵の制作時に光があると反射して作品が見えなくなるからだ

 

 

 

外の天気や日暮れに関わらずいつも薄暗いその部屋で、私はこれから始まる「今日」に備える

 

 

どうしてなのか、私たち二年生にはクラスでうまく過ごせない人が多い

 

お世辞抜きにみんな素敵な人たちである

 

きっと繊細な人たちばかりだからじゃないかと思っている

他の人が気にしないような言葉や行動に敏感だったり、クラスの「違和感」に立ち向かう人がいたり、「自分」を大切にしている人だったり、理由も様々だと思う

だから、部室に帰ってきた途端に泣き崩れる人もいる

 

 

朝部室に来て覚悟を決め、クラスという戦場を耐え抜き、心がくたくたになって帰ってきたなら、お互いを労いその日の勇気を讃える

 

そして迫る締切に向けて作品を描く

日中の騒がしさをよそに自分と向き合う時間は格別なものだ

 

 

 

部活の人たちは、私が惨めさや拙さにぼろぼろにされていても馬鹿にしない

「今日の空はきれいだね」と言ったなら「地球のまるさを感じるねえ」とか「ほんとうだ」と返ってくる

今日の晩ご飯はなんだろう、寒いから鍋がいいなあ、お腹空いたなあ...

 

小さなことでさえも日常の鮮やかなモチーフとして分かち合える

 

 

 

愛おしい、愛おしいと思う

 

 

人間誰しも友人家族といえど他人である以上、分かり合えないことや違うことはたくさんある

 

もちろん私たちにもある

それぞれが「自分」を大切にしているからどうしてもぶつかることも多くなる

それで崩れそうになる時も何度かあった

 

けれど「それがあなたなんだね」と受け取り、もう一度、と進みだす

 

 

 

私は、私なりに様々な人たちと関わって傷つき、学び、変わった

 

みんなもそうだと思う

 

出会う前からそれを繰り返してきたり高校に入ってから変わりだしたりしてきたはずだ

 

 

 

私はまだ何も知らないけれど

この出会いがこの先の私の人生において、きっと何度も私を導いてくれると思っている

 

どんなに苦しんでも涙を流しても、ふとこの時間を思い出すだろう

 

埃くさいあの狭い部屋でギターをかき鳴らす

すると歌声が飛んできて、誰かが踊りだし、ゲラゲラと笑う

くだらない、馬鹿馬鹿しいと笑いながらまた絵を描き始める

袋菓子を開けてみんなでぎゃあぎゃあいいながら取り合う

 

この素晴らしい時間は永遠ではないこと、そう遠くないいつか、みんなばらばらになってしまうこと

 

分かっているような、分からないような

 

その「いつか」はまだ来ない気がして、でも確実に何かが変わっていくのは感じていて

よく分からない焦燥感と悲しさが時々襲ってくる

 

 

だから、私は写真を撮り始めた

 

 

以前から撮ってはいたけれど、

もっとたくさん、たくさんだ

 

この時間を忘れないように

誰かが、いつかまたふと思い出して見返すとき、また進み出せるように

 

展示会の受付だ、合宿だ、クリスマスパーティをしよう、学祭だ、

お菓子をほおばっている

ギターを弾いて歌っている

髪を結ってあげている

 

 

愛おしいこの時間を抱きしめていたい

出会えたことをいつまでも歌っていたい

 

 

 

 

おはよう、また今日も憂鬱だ

愛おしいあなたたちに会うために

今日も一日やってやろうじゃないか